わたしたちには自分の意識にかけているメガネのようなものがあります。思考バイアスと言ったり固定観念と言ったりもするけれど、自分が気づかないうちにこの世界に、色付け、つまりある意味づけをしながらわたしたちは生きています。

わたしがこども時代から長年かけてきたメガネは「世界は平等でなく偽善と矛盾に満ちている」という色。だからわたしが間違った考えを変革する、みんなが平等で幸せであるために戦う、そのために犠牲になる、自分を捧げるという今考えると結構過激な信念を持っていたように思います、笑。

わたしは教育者の多い家系に生まれて幼稚園から受験しずっと国立の学校に通っていました。こどもながらに、わたしがいたのはヒエラルキーが一眼でわかる世界で、自分の考えだけで物事を下に強要することになんの疑問もない大人に強い違和感がありました。
強い立場をとり自分を先生と呼び自分たちを先生と呼び合っている大人も、自分の都合でこどもを自分の持ち物のように扱う家族も嫌いでした。
わたしたちにだって心がある、意思もある、自分の幸せが何かを決める権利がある、と思っていました。
社会に対しても、大人に対しても不信感がとても大きかったのです。

学校は順位づけの場所だから大嫌い、なくなればいい、大人はみんな自分の都合でしか動かないからこどもの気持ちなんて分かろうとなんてしない、わかってくれない。
でも、そのままのわたしでは認められない、不十分な存在だと思われているから、もっと勉強してもっとしっかりと行動して、そうじゃないと自分で選ぶ権利がもらえない、と思ってなんとか頑張って努力して認めてもらうために、いえ、認めさせるために戦う生き方をしてきました。

この強烈な意識のメガネの色が薄くなってきたのは、23歳の時に障がいのあった優大を授かってからです。
ちなみに授かり婚ではないです、笑。わたしは全ての受験、幼稚園・高校・大学受験に成功して、そしてわかりました、いまのわたしにはそこでは幸せな未来を思い描くのはもう無理で、どうしようもない虚無感を抱えてこのまま戦う生き方は続けることができないということを。

そして、それまでのヒエラルキーの中で上位に位置することを正とする世界からドロップアウトしました。勝ち負けのない戦う必要のない結婚という新しい道を選ぶことでそこから逃げたのです。逃げ出したんだなと当時は思っていました。楽をしてますますダメな自分になったかのような気持ちを誰にも言えませんでした。修行僧だったのかな、笑。

それからほどなくして優大がお腹に来てくれて、世界観が崩壊したとも言えるくらいの激変が起こりました。ひとの価値や優劣は何かが出来るできないとは全く関係ないことを知りました。
ずっと探していた「無条件の愛」というものを感じるようになりました。見返りなく愛することは一方通行ではなくて、自分の心の中に溢れる愛をもたらしてくれる優大がいたからこそでした。

幸せの物差しは1人に一つ心の中にあるもの、競争したり比べて勝ち取るものでもない、とわかりました。そうして優大を育てているうちにメガネの色がどんどん薄くなって新しい世界が見えてきました。それは競争のない自由で平等で優しい世界でした。自分次第でいくらでも幸せを感じることができる世界でした。

小さい頃から自分なりに考えていた、本当の優しさとは何か?愛とは何か?生きるとはどういうことか?の答えを優大が運んできてくれたから、わたしの見ている世界は変化したのです。それから様々な経験を経る度に、正解も幸せの感じ方も1人に一つ、と思えば思うほど、すべての苦しかったことに許しが起こっていきました。
もう何もわかってもらおうとしなくても、正そうとしなくてもいいのだなと思えるようになったいまは、とにかく自分が幸せで楽しいと思えることをしよう、笑っていられるように肩の力を抜いて生きよう、そう思えるようになってきました。

でもね、だからと言ってわたしがもう全然悩まなくなったわけではなくて、シャンティハウスを始めて活動している間には、ときに、怒ったり悲しんだりする気持ちも起こる時があります。わかってもらえないという虚無感も時々起こったりします。
だけど以前のわたしと違うのは、そうならば、自分がどうありたいのか?を意識するようになったこと。ひとをコントロールして認めさせたり、変えようとするのではなくて、自分自身がどう幸せを感じて生き、関わっているひとたちの人生を信頼することを意識するようになったことです。

少し長くなりましたが、今日はそんなこれまでの人生のことを振り返りながら、空を見ていました。頑張りすぎる癖はまだあるので、戦わずとも楽をしていい、と自分に何度も言ってあげながら過ごそうと思います♡
最後まで読んでくださったあなたの世界にも、どんな自分にもどんなときにも、いつも愛が沢山降り注いでいることを思い出してもらえたら嬉しいです。