ワークショップ開催までの道のり

     参加者リーダーがまとめてくれました
参加者の高校生リーダーが作成してくれました


*活動の記録として、参加者がまとめてくれたものをそのまま記載します。

第2回こどものワークショップでは企画運営は参加者が主体となって実施することとなっていたため、自分でチラシを作成し鎌倉市内の中学校に配布する計画を立てた。まずは鎌倉市役所を訪問し、中学校でのチラシの配布方法や配布支援について伺った所、鎌倉市教育委員会の後援を貰い、鎌倉市中学校校長会で承認されなければ配布できず、その申請に1ヶ月程度かかると分かった。そのため開催を1ヶ月遅らせ、教育委員会の後援をいただけるようにお願いした所、約3日で後援をいただく手続きができた。
しかし、ワークショップのテーマを理由に校長会への提出が叶わず、個別で鎌倉市内の中学校に連絡を取った。
幸いなことに連絡を取った市内の3校の中学校では配布の目処が立ち、実際にチラシを手渡し配布してもらうこととなったのだが、後に校長会の承認を得ていない書類は配布できないとの理由で鎌倉市内の中学校で一律配布禁止となってしまった。
 そこからは校内での掲示や勧誘、フリースクールへチラシ配布のお願い、財団を通しての周知など地道に参加者を募集し、当初の定員であった10名には届かなったが8名の参加者を募ることができた。

ワークショップ全8回の活動

   参加者リーダーがまとめてくれました

■第1回(5/27) テーマ:現在の学校と理想の教育について/ 対面

高校生男子3名で現在の学校制度と理想の教育について話し合った。参加者が最も強調していたのは学校における生徒の自由が極端に少ないことであったため、授業内容や登校時間を自分たちで決定する権利の重要性について話し合った。加えて、優劣をつける仕組みによって不利益を被る生徒がいることから生徒同士を競争させるような仕組みをなくすことの必要性や、教師と生徒が上下関係でつながるのではなく、教えたい・教わりたいという思いで授業ができるような仕組みを作る必要性などについても議論があった。
学校において年齢で習熟度分けをすることに対する違和感や、同じような知識量だったとしても年齢が離れすぎている人と同じ授業を受けるのは難しいのではないかという議論があった。

■第2回(6/12) テーマ:内容の振り返りと理想の教育について/オンライン

参加者に現状の教育についての不満・疑問や理想とする教育は何かについて質問した。意見として出たのは概ね第1回と同じだったが、現状の教育の、社会で生きるための最低限の知識は必要だという姿勢は活かすべき、という意見はその後のワークショップの中でも大きな議論となった。

■第3回(6/24) テーマ:現在の学校と理想の教育について/ 対面

今まで参加できていなかった女子中学生2名女子高校生1名と男子高校生1名でワークショップを行った。この回ではより具体的な意見が多く、自由な教育については個別授業を増やしたり、大学の講義を受けられる制度を作ることが議論として出た。他にも、学校において年齢で習熟度分けをすることに対する違和感について話し合った際も、確かに年齢の分けは不必要かも知れないが、学校が子どもたちが人と交流する場となっていることを考えると、学校にはそういった機能は不可欠だという議論になり、代替案の必要性を確認した。

■第4回(6/26)  テーマ:内容の振り返りと理想の教育について/ オンライン

第1、2回で出た男性参加者の意見と3回で出た女性参加者の双方の意見を大まかに伝え合い、今までの内容を振り返った。男性と女性の参加者の間で特に意見の相違がなかったため議論は概ね円滑に進んだ。

■第5回(7/15) テーマ:理想の教育について深める/ 対面

この回ではすべての参加者が対面で集まり、第1回〜4回までで話してきた理想の教育の内容について確認し、新たに①自分にとっての理想の教育とは②授業内容についての2観点に分けて考えを深めた。

まず①だが、今までの話し合いで教育に生徒の自由が必要だということは全員賛成していたが、具体的にどんな自由が必要なのかについて話し合うことで考えを深めた。議論に上った自由は多岐にわたり、登校や授業環境の自由、交流や科目選択・学習深度、授業時間の自由などが挙げられた。自由といっても教師の支援や充実した設備が不必要なわけではなく、金銭的な援助も含めた手厚い支援や、生徒が安心して学校生活を送れるような場所、コミュニティの設置などが必要だという意見も目立った。他にも、生徒同士の交流の場を確保し、生徒と教師がお互いに満足して授業に参画できるように日本全国の生徒や教師が登録できるSNSプラットフォームを作成すべきとの意見や、生徒が主体となって行える新しい行事制度が必要との意見、長期休暇を含む休みや授業感の休みを増やす必要があるという意見が挙げられた。

②については、基本的に生徒に自主性に任せ科目選択を自由にすることで合意していたが、以前意見として挙げられていた社会の中で生活に困らない必要最低限の教育の必要性について改めて考えることが主となった。人や地理的な条件、文化的な伝統などの関係で必要になる最低限の教育は変化するとの意見が出たことで最低限のラインに関する議論が白熱し明確に線引をすることは困難だったが、社会の中で生きていくためには四則演算や読み書き(小学校3年生までの漢字など)、道徳的な概念についての体験型学習は必要だという意見に収まった。ただし、道徳的な概念については議論が困難であり、明確な内容を決定することはできなかった。他にも、こどもたちが自身の興味・関心のある分野を発見できるようにあらゆる科目の基礎を満遍なく体験させることも必要だという意見が挙げられ参加者で概ね同意した。

■第6回(7/22)  テーマ:理想の教育について深める/ オンライン

 この回ではすべての参加者がオンラインで集まり、第5回ワークショップで話せなかった受験制度と教職員について話し合い、最終発表会の内容を確認した。議論の中では基本的に受験制度は廃止すべきとの意見が多かった。学校の定員などの関係で完全に廃止することは困難だという意見や、オンライン授業を活用することや少子化の影響で定員を超えないとの意見が挙がった。加えて、教員の待遇や選定方法についても議論になり、授業以外の事務作業も教員が担っている現状を改善することの重要性や、教育に対して意欲的な教師を育成し採用する必要があるという意見が挙がった。

■第7回(7/28)&第8回(7/30) テーマ:事前準備/ 対面

最終発表会に向けてリハーサルを行い、当日使用する資料や会場に掲示するポスターを作成した。

  最終発表会

参加者リーダーがまとめてくれました 
参加者の中学生が作成してくれました

2023年7月30日(日)鎌倉商工会議所301会議室にて発表会を開催しました。

①ワークショップの中で議論してきた理想の教育についての発表②参加者が行いたい理想の授業③観客と共に行うワークショップ体験の3部構成で行った。

①では概ねワークショップ中で出てきた議論のまとめを行い②では私を含めて3人の参加者が「みんなが知らない蜘蛛の魅力」「翠子の部屋」「個人の幸福と日常生活の関係性」と題して自身の発表したい授業を披露した。歓声や拍手が起こる程よい内容の発表となった。
③ではテーマを「理想の国って何」と設定し、ワークショップ参加者と観客が混ざり合って5つグループを作り各々のグループの中で話し合いを行い発表してもらった。テーマが大きかったため議論は多岐にわたり、国の定義自体について思い悩む大人や、現状の貨幣制度について考える子どももいたりと、とても多種多様な考えを持つ人たちが意見を交換できた実りのある議論となった。

活動ギャラリー

最終発表会参加者のレポート&ご感想

最終発表会を見にきて下さった方々からの詳細なレポートもいただいていますので、ぜひお読みいただけるとより臨場感を持ってこのワークショップを感じていただけるかなと思います!ご感想を下さった皆様、本当にありがとうございます。

(抜粋)“子供達が主体”となって企画し、自分達が理想とする教育を思い描き、その教育を実現するためにはどうすれば良いのかを考え発表する。僕はこの発表会に大きな期待を寄せると共に開催の日をとても楽しみにしていました。ㅤなぜなら、子供達が今この世界をどう見ているのか?その世界を今後どうしていきたいのか?そして自分には何が出来るのか?子供達の生の声を聴く事は自分の今後の生き方に大きな影響を与えると感じたからです。
結論から言いますと、想像を遥かに超えて素晴らしかったです。多くの方に参加していただきたいと強く感じました。

全体の流れを御紹介します。
最初に今の学校の問題点を人形劇スタイルて発表してくれました。(硬い話題を柔らかく楽しく伝えようとする姿勢。大切ですね。)1番驚いたのは次に解決策の発表があり、理想の授業の模擬体験へと。
最初の授業の先生はこのワークショップのリーダーN君。彼は受験生にも関わらず、この世界の未来を思い、長い時間をかけてこのワークショップのリーダーとしてみんなを引っ張ってきました。その姿勢にはリスペクトしかないです。彼の授業は個人の幸福に関する定性的調査の発表。定性的調査とは定量調査の前にやる事前調査とのこと。その結果、興味深かったのは小学生と中学生と大人はそれなりに幸福度が高いのに高校生の幸福度にバラツキがあったと言う事。高校生に対して大学受験と言うものが幸福度に関して大きな影響を与えているのでしょうか。もし大学が無試験になったらこの幸福度も変わってくるのでは。
次の授業は中学2年生の女の子Kさんが先生。彼女の授業のタイトルは〜あなたの知らない蜘蛛の世界〜
『蜘蛛の糸は磁気を帯びていて重力に逆らって空中に浮く事が出来る。それを利用して蜘蛛は空を飛ぶ事が出来る』この発表に会場から『おぉ〜!』と言う感嘆の声が上がりました。(みなさんも知らなかったでしょ?笑)
彼らが考える理想の教育の大切なキーワードの一つに『好きな事を学べる』と言うのがありました。
彼女は”好きな事の研究”で多くの大人に『おぉ〜!』と、感嘆の声を上げさせる事ができる事を示してくれました。あの会場に数百人数千人が居たとしても同じように感嘆の声が上がったと思います。僕は授業が終わった後、彼女の事を自然と先生と呼んでいました。聞けば彼女は元々蜘蛛が大嫌いだったとの事。それがあるゲームの蜘蛛をモチーフにしたキャラクターがとても可愛かった事から蜘蛛が大好きになったと。
人生なにがあるか分かりませんね。ゲームが彼女の人生を変えたとも言えます。いわゆる娯楽やエンターテ
イメントに人生を変える大きな可能性を感じます。
つづいて同じく中学2年生Mさんが先生の演劇ワークショップは3人1組になっての朗読劇。黙読と音読の違いを経て、いかに声を出す事が大切かと教わりました。これもとても楽しいものでした。機会があればまたぜひやりたいと思います。元々彼女が演劇に目覚めたのはお母さんが沢山お芝居に連れて行ってくれた事から。お母さんの趣味が娘さんの才能を開花させたわけです。これも理想の教育の在り方の1つかも知れません。
次は参加者をグループ分けして、理想の国とはどんな国か?その国を作るためにはどうすればいいか?それをディスカッションし自分の意見を言う時間。この時間、僕が参加したグループでは理想の国とは平和で楽しい国であるとし、そのためにはやはり教育が大切だとなりました。具体案の1つとして、高校一年生時は、とにかく色んな授業を受けて、一つの科目につき三人以上の先生の授業を受け、その中で自分が1番楽しんで学べる授業をしてくれた先生を選ぶ。人気のある先生はドンドン給料が上がる。笑。そうすると先生になりたいと思う方が増えて、より面白い授業をしてくれる先生が集まるのではと。残念ながら人気が無い先生には辞めていただきます。笑その過程で、、苦手だと思ってた科目が面白い先生に出逢ったお陰で好きな科目になり得意科目になってと言うような事もあり得るのではと。僕はこんな学校ならまた高校生やってみたいと思いました。笑

僕はこの発表会全体を通して子供達の、この世界の未来について真摯に考える姿勢と、この時間を楽しく有意義な物にしようという強い思いを感じました。そして全ての授業がとても興味深く、一切眠くならず、とても楽しい時間でありました。
好きな事を楽しんで学び深め発表し、それをみんなが認め学びながらイキイキと喜び合う。
今日の発表会そのものが理想の世界の縮図だったのではと感じました。こう言う事を実現してくれる子供達が居る。きっとこの世界の未来は明るい。
(Sさん)

(抜粋)長丁場のワークショップでしたが、あっという間で予想以上の素晴らしい感動のワークショップでしたので長文ですが、内容少しシェアします^ ^
理想の教育に必要な要素は何?社会生活を送るために最低限の教育や基礎教養にはどんなことが必要?現教育の中から本当に必要なことだけを抽出し、学習量を大幅圧縮できないか?もし現在の問題点を解決するにはどうしたらいいのだろう? 今、子どもたちが学校教育の中で感じていること。 これまで話し合ってきたことを「わたしたちの考える理想の教育」と「子どもたちの考える理想の授業」として披露してくれて、その後は、大人も子どもも一緒に話し、深め合う「意見交換会」でした。
子どもたちの描く理想の授業は「あなたの知らない蜘蛛の世界」「翠子の部屋」という自分の大好きな世界を楽しく大人顔負けの技術や知識も魅せてくれながら講義してくれました。頼もしい先生たちに引き込まれて、知らなかったことも学べました^^
大好きなことは楽しく学びを深められ、想いも自然と伝えることができる。輝いている子どもたちを見て、改めてそう実感しました♪
そもそも教育は?すべてを学校だけで学ぶのではなく、教室外の学び場を得ることでより好奇心や刺激を得られるのではないか?その道のプロなどから質の高い教育を受けることが出来たら、そこから得た学びを通じてその後、(自分たちが)多くの人を幸せにできるのではないか?みんな同じカリキュラムでは、自分の学びたいことは学べない。学校期間内で授業を選択できたらいい。
教えたい人=教わる人 マッチングしていること。その方が生徒も先生もHAPPYなのでは?オンライン授業、アーカイブの活用は学校へ行かなくても学べて何度も見直せる学習方法なので理解度もあがるのでは?環境整備として、他学年との交流や、遠慮なく先生へ質問できる場つくりや集中力が続くよう授業時間の短縮、休み時間や休みの日を増やすのはどうだろう?現在はタブレットと教科書と両方持ちのストレスがある。紙の配布物を削減し、無駄を減らしたい。制服の自由化は学校へいく楽しみも増え、モチベーションも勉強効率もあがると思う。勉強量が多いのは生徒でだけでなく、先生にとっても負担。それは部活動についても同じ。→生徒主体の行事や部活動へ客観的によく先生のことも観察していて、私もその通りと共感できること。納得できることばかりで、うんうん頷いていました。
テーマ「個人の幸福と日常生活の関係性」では幸福度の定義とは?「主観的な満足感」「やりたいことができている状態」で、心理的余裕が重要なのではないか?これからはこうしたことを社会で補い、創っていけたらいいと思う。 すごい!私が高校生の時は全然こんなこと考えもせず過ごしていました(;^ω^)
大人も子どもも幸福度の定義は変わないものですよね。社会に出て困らない教育。道徳観はどのように学べば身に着くのか?も具体的に考えていて、・楽しい? (楽しくない)・自由?(不自由) ・ストレスは減る?(ストレスフル)

本質へ純粋に向き合っていてこれは大人にも当てはまると思う。こうした視点、視座、視野で物事を捉えながら、心の声を言語化して、みんなでそれぞれの意見を出し、話し合いカタチにしていく活動が鎌倉だけでなく、全国に波紋のように拡がっていったら、もしかすると子どもたちが新教育制度一端を担うことになります。一っ飛びではないし、課題も色々あると思いますが、すべてが繋がり私たちは生きている。未来を生きる子どもに意見や想いを聞いて、大人が知恵を貸すことをできるとしたら?次回はぜひ多くの方にライブで聞いていただきたいと思います♡(Kさん)

(抜粋)普段の学校の授業って型にはまった感じで淡々と過ぎるのを待つというイメージですが、今回のワークショップでの授業はオリジナリティ、熱量溢れる授業でした✨理想の国を作るためにどうしたらよいかという意見交換の時は(すぐに答えが出ない壮大な課題!)一緒に参加した小学生の娘達、学校ではなかなか手をあげないのですが、自分の意見をちゃんと言うことができました。どんなことを言っても大丈夫な温かい雰囲気のおかげかな✨そして、正解の無い問題をみんなで意見を出し合うことの大切さも感じました✨今回ワークショップを作り上げた中高生の皆さんのおかげで、なんだか私も頑張らなきゃという気持ちになりました。ありがとうございました✨(Iさん)

(抜粋)子供たちが主体的に考え企画したワークショップで、子供たちによる理想の授業の発表や、大人と子供が同じ目線になって考え話し合う意見交換会などもあり、とても有意義な時間でした。幸福とは何か?理想の教育とは何か?理想の国とは何か?大人はつい固く難しく考えてしまいますが、子供たちの自由で柔軟な発想は素晴らしいなと思い、学ぶことが多かったです。このように大人と子供が相互に学び合える環境は絶対必要だなと思いました。(Iさん)

このWSをサポート協賛して下さった方のご紹介

       ご本人の承諾をいただいた方のみ掲載させていただきます

今回のワークショップの最終発表会は内容に合わせて大きめの会場を使用することになりました。会場となった鎌倉商工会議所の大会議室を利用するにあたり発生した利用料について、当日観客として参加して下さった方々より1,000円の参加費をいただき充当することができました。また発表会には参加できなかった方々から活動費にと寄付もいただきました。
大人が子どもをサポートしみんなで協力しあって作る「子どもが主役の活動」として、とても意義深い回となりました。以下のご協力ご協賛いただいた皆さま(お名前を掲載していない皆さまを含め)に心より感謝申し上げます。

木村勝 井上舞子 書家志龍 中島広数 池田卓規 丸山徹 丸山真美 齋藤修一 末吉恵美 秋草涼  秋草理奈 久保田美奈子 中村あおい 寺瀬勇人 *敬称略・受付順にて記載させていただきました

(会場利用料内訳 利用基本料11,200円/プロジェクター3,300円/スクリーン1,100円  合計15,600円)
その他、運営費等すべて無償にて実施 

Special thanks

今回のワークショップに興味を持って参加してくださった中学生、高校生のみなさん、貴重な時間を共に体験させていただき本当にありがとうございました!みなさんから発せられた様々な気持ち、希望やアイディア、模擬授業、すべてのことが参加者同士、シャンティハウスにとって、また社会にとっても大きなギフトになりました。
これからさらに成長されて、社会の中で自分らしく力を発揮して輝いていかれることを、心より応援しています。わたしたち大人もみなさんを見習って、まだまだ成長し、こどもも大人も自由に学び遊び交流し、いきいきと人生を楽しんでいける社会づくりに貢献していきたいと思います。