紫の花はこの世界にそっと花開いた。
その花びらは幾重かに重なって、美しい幾何学模様を形作って咲いている。
薄い紫色の花びらはふわりと空間に浮かんでいるようで、でもしっとりとしたたおやかな存在感を放つ。
その茎はとても細くすぐにでも折れてしまいそうに儚げだ。
葉も風にゆらゆらとたなびいて、大気に溶け込んでいる。
神秘的な魅力を持つその花は、ただそこに咲いて風に揺れているのがお気に入りだった。
ある時、紫の花は自分とはまったく違う鮮やかな赤い花に出会った。
太くてまっすぐに伸びた茎には固く尖ったトゲがいくつもついている。
その先に開く花は凛とした雰囲気を漂わせ大きな美しい真紅の花びらを重ねて堂々と咲いていた。
どこか人を寄せ付けないような感じもしたが、それでいて、楽しげに咲いているその花に、紫の花は釘付けになった。
あの花に近づいてみたい。
自分とは違う赤い花を見ていると、新しい世界に連れて行ってもらえるようなワクワクとした気持ちがした。
「あなたはどこから来たの?」紫の花は尋ねた。
「僕は最初からここにいたよ。君はどこから来たの?」
「私もずっとここにいたわ。」
「それじゃあお互いに気づかないでいたんだね。君はとても美しい花だね!」
「あなたのそばに近づきたいけれど、そのトゲがあると近くにいけないの。私の花びらも茎も葉もとても繊細で傷つきやすいから。そのトゲをとってくれない?」
「いや、それは無理さ。僕は最初からずっとこのトゲとともに咲いているんだ。君がもっと丈夫な茎になればいいんじゃないか?」
「いえ、それは無理よ。私もずっとこの姿以外にはなったことがないし、なることができないわ。」
「そうか。。僕は、今まで自分がどんな形をしているかなんて気付いてなかったよ。君に言われるまでは。」
「私も。。」
紫の花と赤い花は悲しくなって、ため息をつきながら周りを見た。
そこには、今まで気付かなかったけれど、自分以外のまったく違う花たちがそれぞれに輝いて咲いていた。
「そうだよね。よく見てみれば、僕たち以外にもこんなに色とりどりの花々が咲いているよ!僕や君が存在しているってことは、一つ一つが違うってことなんだね。」
赤い花がそう言うのを聞きながら、紫の花は思った。
「自分とは違う存在だから出会えた。それってなんて素晴らしいこと!」と。
お互いに違うから、これ以上はそばに近寄れないけれど、ここから見ているだけでもとても嬉しい。
私にないものを持って、私とは全然違うから、私は赤い花に釘付けになった。
私が他の花たちとは違う私だけの花の形をしていることも知ることができた。
「ねえ、あなたと出会えてとても幸せよ!」
「ああ、僕もさ!」
紫の花は今日も、風に揺られて、その美しい花びらをなびかせながら咲いている。
一つだけ今までと違うことは、大好きな赤い花やこの色とりどりの花たちと同じ世界で咲けることの喜びを感じていることだった。
まさしく、皆違って皆いいですね(^^)
出逢い(ご縁)て言うものは、自分にとって、いろんな影響を与えてくれる。
それは良い事も悪い事もあるけれど
、自分を成長させてくれる?なんてね^^;
はるみさん、そうそう、出会いには色々な想いが生まれるけど、そのすべてがギフトだと思う。嫌な気持ちでさえ、自分が何が嫌かを教えてくれる。
みんな違うから、私達は豊か